2015年の制度改正で枠の拡大及び確定申告の必要がなくなると予想されている“ふるさと納税”。応援した自治体に寄付をすればお礼がもらえる、という非常に有難い制度の反面、問題点はないのでしょうか?何点かピックアップしてみました。
何かと話題になりつつある”ふるさと納税”。確かにふるさと納税の制度を利用する側にはメリットが多数ありますが、問題はないのか?調べてみると、悩ましい問題点がやはり存在。
ふるさと納税について、当サイトも記事をいくつか書いて参りました。
参考記事1:ふるさと納税とは?分かりやすく説明できるかやってみます
http://okiraku-news.net/2014/12/25/hurusatozei-setsumei/
参考記事2:ふるさと納税2015、お得な”米”ランキングはこれだ!(こちらの記事が人気なんです)
http://okiraku-news.net/2015/01/20/furusato2015-kome/
ふるさと納税のメリットを享受する前に、悩ましい問題点を知っておいて損はないので、ふるさと納税の主な問題点をピックアップしてみました。
都市部から地方へ税収が流出
元々地方支援の施策の1つとしてスタートした、ふるさと納税制度。安倍内閣の地方創生の掛け声もあり、2015年に制度の拡大が予定されています。
参考記事:ふるさと納税が2015年の改正で確定申告が不要に、注目です
http://okiraku-news.net/2014/12/26/hurusatotax2015/
ふるさと納税制度が創設されたのが2008年。それから5年が経過し、当サイトで制度の紹介をしているのが典型例ですが、ある程度一般的な認知も広がっています。そして、ふるさと納税制度の利用者の増加とともに、都市部を中心とする自治体の税収減、という状況が発生しつつあります。
「同じお金を払うなら、特産品をもらえる自治体に寄付したほうがいい」、と考えるのは、経済合理性を考えれば当たり前。それに、制度の趣旨が”地方自治体の支援”ということであれば、ある程度の税金が人口の多い都市部の自治体から地方の自治体に流出するのは避けられない事態。
2013年度のデータでは寄付金控除適用額ランキングベスト5は下記のようになっています。(寄付金控除額の全額がふるさと納税ではありませんが、大まかな傾向は把握できます)
1位 東京都 1,228百万円
2位 大阪府 415百万円
3位 神奈川県 410百万円
4位 千葉県 247百万円
5位 愛知県 237百万円
東京都の金額が12億円と突出しているのが特徴的。人口構成から考えれば、当然の結果かもしれませんが。ただ都市部の方がふるさと納税で、自治体に寄付をした結果、都市部に納められるべき税金が地方に流出している事態が、数字でも表れています。
都市部から地方への税金の流出、現段階では大きな影響は生じていませんが、今後金額が大きくなっていくと、都市部の福祉、教育等の公共サービスに影響が生じる可能性があります。
ちなみに、ふるさと納税で寄付金を集めた自治体のランキングについては、下記記事をご覧ください。
「ふるさと納税、2015年の自治体ランキングは大幅変動の予定」
http://okiraku-news.net/2015/02/10/furusato-jititairank2015/
お礼の特典の自治体間の競争の過熱化
各自治体がふるさと納税制度での寄付を得ようと、お礼の特典に知恵を絞っています。米や肉や果物といった食べ物からサービスまで、非常に幅広い特典が存在しています。
関連記事:ふるさと納税、お得な特産品・特典のカテゴリー分け
http://okiraku-news.net/2015/01/07/hurusato-catego/
そんな中で問題となったのが、京都府宮津市の1千万円のふるさと納税で750万円の土地がもらえる、という特典。実質2,000円で750万円の土地がもらえることになり、さすがに総務省から「やりすぎ!」とストップがかかりました。
基本的に、換金できるような資産を特典にしてはいけない、というのが、ふるさと納税のそもそもの趣旨。土地が特典だと、完全に資産になってしまい、アウト、という判断がされました。
まぁ資産性云々というより、さすがにふるさと納税のお礼の特典が土地というのはやり過ぎだろう、というのが素人でも思いますが、逆に言えば、それだけ自治体もふるさと納税での寄付の獲得のために必死ということが言えます。
今後、ふるさと納税制度の拡大の中で、各自治体間のお礼の特典の過度な競争が生じる懸念があり、余りに競争が過熱した場合、お礼の特典自体にストップがかかる可能性もあります。
金持ち優遇という批判も
ふるさと納税制度の利用できるのは、所得税・住民税を払っている方に限られます。サラリーマンであれば、普通に所得税・住民税は払っていますが、制度の利用には所得税・住民税の金額に応じた限度があります。
参考記事:ふるさと納税の限度額の計算方法と目安、年収500万円で約2万円なり~
http://okiraku-news.net/2014/12/26/hurutax-gendo/
そしてこのふるさと納税制度、高額納税者であればある程、制度の使い勝手がよい、と言うことになります。年収500万円で約2万円というのが、一般的なふるさと納税の限度額ですが、年収が増えば増えるほど、ふるさと納税制度が利用できる金額が増えることに。
当然、高額納税者の方は、累進課税で結構な税金を払っておられる訳ですが、2万円程度しかふるさと納税制度を利用できない庶民からみれば、10万円規模でふるさと納税制度が利用できる高額納税者は羨ましく見えてしまいます。
まとめ
今はまだ一部の方の利用にとどまっている、ふるさと納税制度。2015年の制度改正で、使い勝手がよくなり、利用者が増えれば特に①の都市部から地方への税金の流出、という問題がクローズアップされそうです。
ただ安倍内閣の“地方創生”というスローガンに沿った政策でもあり、ふるさと納税の制度自体がなくなるといった事態は、少なくとも安倍内閣が続く限りはなさそうです。ただあまりに①や③が行き過ぎると、どこかで政策の見直しといった事態は十分に予想されます。
2015年の制度改正で利用のハードルが下がる予定のふるさと納税。上記問題はありつつも、庶民にとってはささやかな楽しみのある制度、ではあります。今後、ふるさと納税の制度がどんな方向に向かっていくのか、注目していきたいと思います。
15/2/27追記:ふるさと納税と株主優待を比較してみました
ふるさと納税制度、株主優待と比較すると、より制度のメリットとデメリットが見えてきそうです。両者を比較してみました。
「ふるさと納税を株主優待と比較、メリットとデメリット」
http://okiraku-news.net/2015/02/27/hurusato-haito-hikaku/
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[…] 今回の制度改正とともに、ふるさと納税が更に加熱すると、既に指摘されているふるさと納税の問題点、今後益々クローズアップされる可能性もあります。 […]
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