ファンや選手は新スタジアムの建設を熱望するも、費用の問題等からなかなか動きのなかったサンフレッチェ広島の新スタジアム。話が動き始めたと思いきや、港の近くに新スタジアムの建設、という方向で議論は迷走を始め、遂にはサンフレッチェのオーナーは広島市民球場跡地に独自のスタジアム建設案を明らかに。

 最終的にサンフレッチェ広島の新スタジアムはどこに建設されるのか?これまでの議論の経緯等を時系列でまとめてみました。

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現在使用中のエディオンスタジアム広島は老朽化が進行

 現在サンフレッチェ広島がホームとして利用しているのはエディオンスタジアム広島。1992年オープンの広島広域公園陸上競技場、愛称広島ビッグアーチがそのホームグランド。2013年に広島に本社を置く家電量販店のエディオンが命名権を取得し、現在はエディオンスタジアム広島となっています。

 エディオンスタジアムは1992年オープンで施設の老朽化が進んでいます。更にトイレの数(和式トイレ多数)や屋根のカバー率がJリーグのクラブライセンス基準を満たしていない状況で、早期の対応を求められています。選手側が新スタジアムの建設を求めているのが、この当たりが一番の理由。

 またエディオンスタジアム広島は、広島市街地からアストラムライン(新交通システム)で1時間弱という、非常に不便な場所にあり、試合の後はアストラムラインの混雑と周辺道路の大渋滞はチョットした名物にもなっています。

 広島市は山を切り開いて街を広くしてきた歴史があり、エディオンスタジアム周辺を歩いてみたり、広島市街地からエディオンスタジアムに向かうと、その開発の歴史を垣間見ることができます。
以前から駐車場が少ないと言われていたエディオンスタジアム(広島ビッグアーチ時代)ですが、周辺の民間駐車場がそれなりにあり、試合を見に来たサンフレッチェファンはそこに駐車をしていました。しかし時間の経過とともに徐々にビッグアーチ周辺の開発が進み、それにより民間駐車場の数が年々減っていくという、悪循環が発生し、実は以前に比べて交通事情は悪化しています。。。

 ともあれ、施設の老朽化が進行し、更にJリーグのクラブライセンス基準を満たしていないエディオンスタジアム広島をホームとしているサンフレッチェ広島、早期にスタジアムの問題を解決が求められている状態となっています。

サンフレッチェ広島の新スタジアム建設検討の経緯

 サンフレッチェ広島の新スタジアム建設は下記の経緯を経て、現在に至っています。

2012年-サンフレッチェ、後援会、県サッカー協会の3者で新競技場建設のための要望書を広島市・広島県に提出
2015年-サンフレッチェがリーグ優勝
2013年-県、市、県商工会議所、県サッカー協会による「サッカースタジアム検討協議会」が発足
2014年-サンフレッチェがリーグ優勝
2014年末-協議会が建設場所を「旧市民球場跡地」と「みなと公園」の両論併記で最終報告書をまとめる
2015年7月-県知事、市長、商工会議所会頭の3者会談で「みなと公園」案が優位と確認
2015年-サンフレッチェがリーグ優勝
2016年3月-サンフレッチェが独自のスタジアム建設案を発表
2016年3月-県、市、商工会議所がスタジアムの建設地決定を延期

 2012年にリーグ優勝して新スタジアムの建設を要望してからサンフレッチェはその後も2度、計3回もリーグ優勝しています。広島カープとは大違い・・・、、まぁ広島市民の飲み屋ネタですが。
 ちなみに2012年のサンフレッチェ優勝時に、松井・広島市長が「3度優勝すればサッカースタジアム建設を考える」と仰られた話は有名です。そして結局、3度優勝してしまったサンフレッチェ広島でありました。

 3度のリーグ制覇に導いたサンフレッチェ広島・森保監督の指導法を知るには下記が詳しいです。

2015年にサンフレッチェ広島前社長が広島市長選に出馬

 新スタジアムの建設の議論が一向に進まない自体に業を煮やしたサンフレッチェ社長の小谷野薫氏は、サンフレッチェの社長を辞任し広島市長選挙に立候補。

 「3度優勝すればサッカースタジアム建設を考える」と発言した松井市長との直接対決が注目されましたが、結果は小谷野氏が惨敗。これで新スタジアムの建設実現は遠のくかに見えました。

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行政側は「みなと公園」を推し、サンフレッチェ側は「旧市民球場跡地」を推す

 2度めのサンフレッチェのリーグ制覇もあり、新スタジアム建設は漸く具体的な議論が進むことに。 

 しかしながら新スタジアムの建設、議論のスタート時点から迷走の兆しを見せます。サンフレッチェ側は「旧広島市民球場跡地」のスタジアム建設を希望するのに対し、行政側は「みなと公園」へのスタジアム建設というスタンス。

16.4.19広島みなと公園-地図-min
広島みなと公園の周辺地図

 「サッカースタジアム検討協議会」は両論併記となりましたが、どちらかと言えば「みなと公園」寄りの内容。

 広島市は川の三角州にできている街であり、平らな土地は岡山よりも狭いです。そんな中、高度成長期の人口拡大自体を神戸市のように山を切り開いて乗り越えてきた広島市。山側の開発が終わったので、次はインフラの老朽化が進んでいる海の側の再開発を、というのが何となしに見えてくる行政側の考え方です。

 そして県知事、市長、商工会議所会頭の3者会談で「みなと公園」案が優位と確認するに至り、実際にスタジアムを利用するサンフレッチェ側が思わぬ手段に出ることになります。

 それが、税金を一切使わず新スタジアムを「旧市民球場跡地」に建設する案となります。


非常に立地がよく、かつては広島市民の心の拠り所でもあった「旧広島市民球場」

 

サンフレッチェ広島の新スタジアム建設案

 サンフレッチェ広島が発表した独自のスタジアム建設案は以下の内容となっています。

・場所 旧広島市民球場跡地
・収容人数 約25,000人(みなと公園は30,000人)
・費用 税金は一切利用せず
 →140億円(サンフレッチェ久保会長個人及び久保会長が社長のエディオンが40億円を拠出、残りは寄付金及び借り入れ)

 
 サンフレッチェは会長でエディオングループ社長の久保氏及びエディオン自らが出資すると表明。税金は使わない、という驚きの案で広島市民をアッと言わせました。
 ただし税金を利用しないと入っても、借り入れの内容は市債を発行して・・・、となっており、若干議論の余地はありますが、基本的に久保氏及びエディオンが大半のリスクを取る、という内容になっています。

サンフレッチェは「みなと公園」ならスタジアムを使わないと表明

 極めつけは、「みなと公園」の場合、高額が予想される年間使用料のためクラブが2年で確実に債務超過に転落するため試合には試用しない、とサンフレッチェ側は明言。
 これでは一体、何のために税金使って「みなと公園」にサッカースタジアムを建設するか分かりません。

 素人考えでは、役所の考えた採算計画より、事業会社が考えた採算計画の方がまだ信じることができるので、役所の大甘な資金計画だと、サンフレッチェ自体経営がなり立たなくなる、というのは半分脅しとしても、あながち当たらずとも遠からずではないかと思います。

みなと公園案ではサンフレッチェ広島は破綻する?

 サンフレッチェ側の提案資料に、みなと公園に移転した場合の収支計画が掲載されています。

16.4.19サンフレッチェ-収支予想-min
「Hiroshima Peace Memorial Stadium(仮)建設案」(12ページ)

 リーグ連覇を成し遂げているとは言え、財布の中身は決して裕福ではないサンフレッチェ。平成27年1月期、優勝があった年でも営業利益は1.3億円。現状のスタジアム使用料1.0億円が、みなと公園案だと5億円以上になることが予想され、そうなると仮に移転効果でお客さんの数が増えても=売上が増加しても、全く黒字に届かない状態となります。

 サンフレッチェは2012年に99%減資と増資で過去の財務的な膿を出して現在に至っていますが、みなと公園に移転の場合、遠からず同じ事態の到来が予想される、というのがサンフレッチェの資料で明らかになっています。

 元々サンフレッチェを支援していた中、2012年の99%減資+増資でも中心的役割を果たしてエディオン久保社長としては、もう同じ事態は二度と御免、と思っているのは間違いないでしょう。 

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「みなと公園」はよくないよね、個人的経験より

 行政が「みなと公園」にこだわる理由は外部からはよく分かりませんが、現地に何度か行ったことがある立場からすると、「みなと公園」にスタジアム建設するのはやめたほうがいいんじゃないか、と思います。
 何故って「みなと公園」いわゆる宇品地区は渋滞することで有名。広島の海の玄関口がスグ近くにあるので、トラック等で結構渋滞します。管理人も何度かはまってます。。。
 
 更に移動手段が市電しかありません。サッカーの観客が市電でスタジアムに移動・・・、考えるだけで満員電車が思い浮かびます。恐らく、それでも輸送力は間に合わないかと。行政側はシャトルバスを運行する、という絵を書いているようですが、試合の後でいつ来るかわからないシャトルバスを待つもの辛いです。広島の市街地まで歩いて2時間かからないと思いますが、さすがにそこまでして行く方もいないと思われます。

 そう考えると、交通の便を考えると、「みなと公園」というのはナンセンスではないかなぁ、と思います。出来たら出来たで、また騒音等、各方面から苦情が殺到するような気もします。

 わざわざ高いお金払って関係者に感謝されない施設作っても、誰も喜びませんね。
 
16.4.18サンフレッチェ広島-min
せっかく作るスタジアム、気持ちよくサンフレッチェを応援したいものです

まとめ

 最終的に新スタジアムがどこに建設されるのか、2016年4月の段階ではまだ決定していません。広島市民の心の拠り所でもあった、広島市民球場跡地にサクッとスタジアム建設すればいいのに、と外部から見ると思いますが、そうはできない事情があるのでしょう。
 けど仕事帰りにプロ野球観戦にスグに行ける広島は環境としては最高だと思いました。広島観光行って、時間合った際、管理人はカープの試合見に行きましたし。

 スタジアムが市民球場跡地にできれば、仕事帰りにサッカー観戦とか簡単にできますね。試合の後、お客さんは歩いて広島駅まで帰れますし。

 チームは強いにもかかわらず、スタジアム問題が右往左往しているサンフレッチェ広島。果たしてスタジアム問題は、無事に着地を見ることができるのか。それともまだしばらくはイザコザが続くことになるのか?

 広島の新サッカースタジアム建設問題、今後の行方に注目です。

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