アメリカ大統領選、当初は色物扱いされていたトランプ氏が遂に共和党の大統領候補へ。過激な発言で知られるトランプ氏、日本でも大きく報じられるようになりました。

 けどね、客観的に見るとトランプ大統領が誕生の可能性は低いと考えられます。その大きな理由を3つ上げてみました。

 選挙は水物なので、5月時点の予想はヒックリ変える可能性もありますが、若干選挙マニアが入っている管理人は、トランプ大統領誕生の可能性は低いと考えています。(2016年5月16日更新)

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トランプ大統領誕生の可能性が低いと考えられる理由

 過激な発言が各方面で物議を醸している米国共和党のトランプ氏。日本に対しても在日米軍の費用を全額負担すべき等、大統領に就任の際は同盟国としては頭の痛い存在となりそうですが、発言の矛先は日本だけではありません。隣国メキシコから韓国、そして中国に至るまで言いたい放題。

 当初は完全に泡沫候補扱いだったトランプ氏でしたが、最終的には共和党の大統領候補の座を勝ち取っています。さすが米国を代表する起業家のトランプ氏、単なる過激な発言をするオッサンじゃなかった訳ですが、ともあれ本当に大統領になれるかどうかは今後、民主党のヒラリー氏を撃破できて初めて実現します。

 アメリカの本当の大統領選挙はこれから始まりますが、客観的に考えるとトランプ氏が大統領となるには相当ハードルが高いと考えられます。以下にその理由を3つピックアップしてみました。

①女性からの人気が無い

 不動産王として名高いトランプ氏ですが、プライボーイとしても有名。過去2度の離婚をしており、現在の奥さんは24歳年下のスロベニア出身のモデル。
 アメリカではアメリカンドリームを達成後、離婚して若い奥さんを貰うケースが非常に多いので、その意味ではトランプ氏もありがちなパターンではありますが、当然女性受けは良くありません。

 ギャラップ社の調査では女性有権者の70%がトランプ氏を支持しない、との結果が出ています。

 古今東西、選挙で女性の支持を失うとまず選挙で勝てません。ギャラップ社の調査の女性の70%がトランプ氏不支持は多すぎとしても、約半数の女性がトランプ氏を支持しない、ということは言えるため、女性票が期待できないトランプ氏の大統領への道は相当険しいと考えられます。

 ちなみに民主党のクリントン氏も若年層の女性からの支持は少ないようです。この当たりが民主党の大統領候補者選びでサンダース氏が思わぬ奮戦を見せる原動力となっていますが、民主社会主義者を標榜するサンダース氏の支持者が、大富豪のトランプ氏を支持するとは思えないので、若年女性層がトランプ氏に投票することはない、と考えられます。

②ヒスパニック系の支持が得られない

 アメリカと言えば、白人と黒人が多くを占める国、というイメージがありますが、既にヒスパニック系の人口は黒人=アフリカ系の人口を上回っています。若干古いですが、2010年のアメリカの人種別人口構成は以下のようになっています。

白人 223,553,265人(72.4%)
アフリカ系 38,929,319人(12.6%)
ネイティブ・アメリカン 2,932,248人(0.9%)
アジア系 14,674,252人(4.8%)
南洋系 540,013人(0.2%)
その他の人種 19,107,368人(6.2%)
混血 9,009,073人(2.9%)
ヒスパニック・ラテン系 50,477,594人(16.3%)
wikiペディア「アメリカ合衆国の人口統計データ」

 アフリカ系12.6%に対して、ヒスパニック・ラテン系が16.3%となっており、アメリカは白人と黒人が多数の国、という姿は既に過去のものとなっています。

 そんな中でトランプ氏は、メキシコとアメリカの国境に壁を作ってメキシコからの不法移民を排除する等、メキシコ及びメキシコ人に対しても過激な発言を繰り返しています。
 そんなトランプ氏がヒスパニック・ラテン系の支持を得られる訳もなく、大半のヒスパニック・ラテン系はトランプ氏にソッポを向いています。自らや、父や母、祖父母がメキシコからやってきたケースが多いヒスパニック・ラテン系の方々、そう簡単にトランプ氏を支持する訳はありません。

 今やアメリカの人口構成の第2位となっているヒスパニック・ラテン系の支持を得られないどころか、嫌われているトランプ氏、大統領へのハードルは高いと言わざるを得ません。

 ちなみに共和党的には奥さんがヒスパニック・ラテン系で自らスペイン語も堪能なジェブ・ブッシュ氏がヒスパニック・ラテン系対策としては最適な候補者だった訳ですが、兄のブッシュ大統領の評判が悪すぎてあえなく大統領選から撤退となっています。

③大統領選挙は民主党対共和党がガチの勝負で五分、まとまらない共和党に勝ち目はない

 4年に1度のアメリカ大統領選挙、大統領が再任の際はそれ程でもありませんが、新人同氏の選挙の際は、共和党か民主党どちらの候補に転ぶか分からない部分が非常に面白い部分。候補者が失言等しなければ、共和党と民主党が互角の戦いの結果、勝者が決まります。

 確かに民主党支持、共和党支持で固まっている週もありますが、スイングステート(その時々の選挙によって結果が変わる州)が大統領選を左右するので、スイングステートを中心に両党の組織はフル稼働します。

 尚、スイングステートについては下記に詳細を記しています。

 しかしながら今回、共和党はトランプ支持でまとまりそうになさそうです。ジェブ・ブッシュ氏他の共和党有力者が既にトランプ不支持を表明。スイングステートの大票田、フロリダ州で一定の影響力を有しているジェブ・ブッシュ氏(元フロリダ州知事)のトランプ氏不支持は驚きをもって受け止められました。
 また共和党のまとめ約存在のポール・ライアン下院議員が、トランプ氏を支持する心の準備ができていない、と発言する等、トランプ氏の共和党大統領候補者が確定しても、共和党がまとまる気配がありません。

 今後、共和党一丸となってトランプ氏支持、となる可能性は否定できませんが、現状のままだと、全力で戦えない共和党対通常通りの民主党、という構図になり、全力を出しきれない共和党は候補者以前の問題として大統領選敗退の可能性大です。

 本気で戦って初めて五分の勝負となる相手に対して、本気で戦えなければどうなるか、敗北という結果は簡単に導き出すことができます。

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民主党クリントン氏は黒人層からの支持が高い

 メール問題を抱える民主党のクリントン氏ですが、ほぼ民主党の大統領候補者の座を手中にしつつあります。未だ国民的人気の高い夫ビル・クリントン元大統領の存在もあり、このままトランプ氏との直接対決となれば、次の大統領の座はクリントン氏が射止める可能性は高くなっています。

 そんなクリントン氏の強みは、黒人層から非常に高い支持を得ている部分もあります。こちらもクリントン元大統領の遺産ともいえますが。
 クリントン元大統領は黒人の多いアーカンソーで生まれ育ち、州知事に就任し、その後は大統領にまで上り詰めましたが、今も黒人の知人を多く有しています。1993年の大統領の就任式では、キング牧師とともに差別と戦った黒人女性作家のアンジェロウ氏が詩を朗読し、話題となりました。また大統領退任後は自身の事務所を黒人が多く住むハーレムに構える(ヒラリー氏の選挙対策の面はありますが)等の活動で、今もクリントン元大統領は黒人層に大きな人気を有しています。

16/5/16追記:トランプ氏に納税問題が浮上、トランプ氏はフェアじゃない?

 富裕層の税金が安いことで知られるアメリカですが、過去倒産歴もあるトランプ氏、大富豪なのに税金それ程払っていないのでは?、という噂が以前からあります。
合法的に節税するのは当然としても(でなければ脱税になります)、それで有権者が納得するかどうかは話は別。

 そんな状況下、トランプ氏は過去の大統領候補者が公開してきた納税申告書の公開を拒否しました。

納税申告書の非公開・女性遍歴テープ…トランプ氏に逆風」(朝日新聞)

 女性問題は既に上記で指摘しているので横においておきます。大富豪のトランプ氏、別に個人で稼いだお金なので、某都知事のように金の使い方が第三者から批判される筋合いはありませんが、そんな大富豪が税金をあまり払ってない、となれば話は変わってきます。

 フェアという精神を非常に大切にするにするアメリカ人。庶民が普通に税金払っていて、大富豪が節税対策して殆ど税金を払ってないとすれば、それはフェアじゃありませんよね。少なくとも他の候補者が公開している納税申告書を出さない時点でフェアではありません。
 この辺りは弁護士で尚且つ政治家もあるクリントン氏はうまくやってるんだろうなぁ、と思います。フェアという精神を重んじるアメリカ人にとって、納税問題でのトランプ氏のフェアとは言いがたい態度は、トランプ氏のコアの支持層の男性層にとっては、なんじゃそりゃ、ということになる可能性を有しています。
 
 暴言問題は、その通り、と賛同する層がある程度存在してますし、女性問題は、そんなこと言ったらクリントン元大統領だって・・・、という話もあるので、色々言われながらも支持を受け共和党の大統領候補者まで上り詰めたわけですが、フェアの精神に反する納税問題、管理人としてはトランプ氏の致命傷になりかねないのでは?、と思いますが果たして?
 
 トランプ氏の率直な物言いに、その通り!、と支持していた層が、この納税問題をどう捉えるか、今後非常に注目されますし、トランプ氏が納税申告書を公開した場合、どんな内容になっているのかという点も、非常に興味深いです。

世論調査ではまだ五分の戦いの余地があるトランプ氏

 上記にトランプ氏が大統領となる可能性が低い理由をピックアップしましたが、とは言え大統領選挙はこれからが本番。そして本番前の段階で、世論調査で確かにクリントン氏に水を明けられているトランプ氏ですが、まだ五分の戦いの余地はある状態となっています。
 以下がアメリカ主要メディアが4~5月上旬に行った、クリントン氏orトランプ氏どちらを支持するかの世論調査結果です。

・リアル・クリアー・ポリティックス クリントン46%-トランプ43%
・CBSニュース クリントン50%-トランプ40%
・USAトゥデー クリントン50%-トランプ39%

 いずれの世論調査もクリントン氏有利の数字となっていますが、トランプ氏との数字の差は5~10%程度。数字の差を見れば、トランプ氏はまだ十分挽回可能な状況となっています。

 今後の大統領候補討論会でクリントン氏がミスを繰り返すようだと、この世論調査ヒックリ変える可能性は有しています。

15.5.13アメリカ国旗-min
トランプ旋風は大統領選挙本戦を制してしまうのか?

どちらがより嫌いかを選ぶ、変な大統領選挙

 一部では熱狂的な支持者がいるものの、暴言から各方面から嫌われているトランプ氏。
 一方のクリントン氏も、旦那が元大統領で自身は弁護士でウォール街とも親しいと言われており、庶民からすれば雲の上の存在で、庶民の人気が高いとはお世辞にも言えません。それが証拠に、前々回の大統領選挙、本命視されながらもオバマ現大統領に負けていますし、今回の民主党予備戦でもサンダース上院議員が意外なほど健闘しています。(クリントン氏は自由に投票券を有している特別代議員の票の大半を抑えているので、各州の予備選で余程の大敗を屈しない限り元々優位な立場にありました)

 その意味で2016年の大統領選挙は、どちらの候補者がより嫌いじゃないか?、を選ぶという近来稀に見る変な大統領選挙の様相を呈しています。軍事大国アメリカ、大統領は核のボタンを推す権限を持つ訳ですが、こんな選び方で大丈夫か?

 ただしトランプ氏は政治手腕は未知数ですが、クリントン氏は政治経験豊富でアドバイザーが元大統領の旦那という実力者ではありますが。

 いずれにしても民主主義はタマに変な選挙が行われ+変な結果が発生することがありますが、外野から見ていると、どちらの候補者がより嫌いでないか、を選ぶ今回の大統領選挙、何か変な感じ、というのが率直な印象です。

まとめ

 選挙は水物、アメリカの大統領選挙とは言っても同じで、最後の結果はフタを明けてみるまで分かりません。しかしながら現状の状態で客観的にトランプ氏が大統領になる可能性があるかといえば、ハードルは非常に高い、と言えます。

 ただし、これまでは共和党と民主党それぞれの候補者選びの段階で、アメリカ大統領選挙はこれからが本番。今後3度に渡る候補者討論会でミスを繰り返せば、優位にあるとは言えクリントン氏も逆転される可能性があります。

 日本にとってはクリントン氏が大統領となれば、当面は日米関係はそのまま(クリントン氏は中国に近いと言われている部分が懸念点ではありますが)ですが、トランプ氏が大統領となれば、日米関係がギクシャクすることもありえそうです。

 世界が注目するアメリカの大統領選挙。クリントン氏が順当に初の女性大統領に就任するのか、それともトランプ旋風は大統領選挙本戦まで制してしまうのか?今後のアメリカ大統領選挙の展開にも注目です。

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