ヒラリー候補有利の下馬評が見事にはずれ、次期アメリカ大統領にはトランプ氏が決定。これまで過激な主張が支持を受けてきたトランプ氏ですが、TPPについては特にこだわっており、離脱を明言。それも、大統領就任初日に離脱を宣言する、と息巻いています。

アメリカのTPP離脱が秒読み段階に入りつつある現在、フト思い出したのが、戦前の国際連盟のお話。国際連盟もアメリカが主導して作りながら、何とアメリカが参加しない、という歴史がありました。

アメリカとTPPの関係は、かつてのアメリカと国際連盟の関係となり、歴史は繰り返されてしまうのか?アメリカのTPP離脱問題を契機に、アメリカと国際連盟との関係を振り返ってみました。

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トランプ氏はアメリカのTPP離脱を立候補当初より主張

すったもんだありましたが、各国が苦労して合意したTPP。

TPPとは日本語訳で”環太平洋戦略的経済連携協定”のこと。要は太平洋の主要国で関税を無くして自由な貿易圏を作りましょー、というのがその心。

そのために日本では農業分野で譲歩を迫られマスコミで大きく取り上げられました。しかし譲歩を迫られたのは日本だけではなく、アメリカも同様。アメリカも各業界の反対を押し切ってTPPを合意に導いています。

ところが、雇用をアメリカに取り戻す、と一貫して主張して大統領選を戦ったトランプ氏が時期大統領に決定してしまったから、さぁ大変。鉄鋼業はじめ、古きよきアメリカを支えたアメリカのメーカーは、既に国際競争力なく現在非常にしんどい状況にあります。そこにTPPが加われば、さらに状況は悪化する、と考えた労働者層はトランプ氏に投票。

次期大統領に決定したトランプ氏、当然TPP反対の旗を降ろすはずはなく、遂には選挙前に宣言していた通り、大統領就任初日にTPP脱退を宣言する、とコメントする事態となっています。

アメリカの大統領選挙の最中に、国会でTPP法案を承認した日本の苦労はさておき、実質的には言いだしっぺのアメリカがTPPから一抜けして、一体TPPって何???、という事態が目前に迫っています。

この光景、どっかで見たことあるなぁ、と思ったら、思い出しました。その昔、世界史で戦前の国際連盟について習ったときに、アメリカは国際連盟を作っておきながら自らは参加しませんでした。TPPは国際連盟と一緒じゃないか???

歴史を超えてTPPで国際連盟の際と、同じ事態が目の前で繰り返されようとしています。
歴史は繰り返す、とはよく言ったものです。

15.5.13アメリカ国旗-min
歴史は繰り返すのか?

アメリカが主導して設立した国際連盟にアメリカが参加せず

戦前の国際連盟、ここで改めてその設立経緯を振り返ってみます。

国際連盟は1920年に設立。第一次世界大戦の悲劇を二度と繰り返さないようにと、アメリカのウィルソン大統領が提唱して設立されました。Wikiでは国際連盟について下記のように説明がなされています。

国際連盟(こくさいれんめい、英語: League of Nations, フランス語: Société des Nations, スペイン語: Sociedad de Naciones)は、第一次世界大戦後の1919年のドイツとのヴェルサイユ条約、および中央同盟国との諸講和条約により規定され、ヴェルサイユ条約の発効日である1920年1月10日に正式に発足した国際組織である。連盟としての初会合は1920年1月16日にパリで、第一回総会は1920年11月15日スイス・ジュネーブで開催された。史上初の国際平和機構であり、日本では連盟と略されることもある。~提唱者が大統領であるアメリカ合衆国自身は、上院外交委員長であったヘンリー・カボット・ロッジなどモンロー主義を唱える上院の反対により各講和条約を批准せず、その後の政権も国際連盟には参加しなかった。(wikipedia

wikiにも記載の通り、国際連盟の言いだしっぺのアメリカは上院の反対により条約が批准できず、国際連盟に加盟せず。世界各国がずっこける事態を起こしています。

TPPに国際連盟のデジャビュを感じるのは、管理人だけでしょうか?

アメリカが国際連盟に加盟しなかった背景

今でこそ、アメリカと言えば、世界に冠たる超大国ですが、かつてのアメリカの外交政策はモンロー主義と言われる、孤立主義が基本。アメリカ周辺以外のことには、首を突っ込まない、コレが基本でやってきてます。ちなみに”周辺”というのがミソで、アメリカの”周辺”には様々な形で首を突っ込んできたのが、アメリカの歴史なのですが、ともあれアメリカ”周辺”以外には首を突っ込まないのがモンロー主義。

国際連盟はその崇高な理念は理念として、アメリカ及びその周辺にあまり関係ないし、そもそもアメリカの第一次世界大戦参戦も、国内的には反対の声が多かったのも事実。

そんな背景のもと、理想に燃えるウィルソン大統領が国際連盟加盟を主張したものの、国内的には反対論が渦巻く状況であり、上院での条約批准は僅差で否決。結果的にアメリカは国際連盟に加盟することなく、第二次世界大戦を迎えることになります。(ウィルソン大統領の後を継いだ、ハーディング大統領も国連加盟反対派であり、もう完全に国際連盟はアメリカ抜きの組織だったんです)

基本的には内向き志向のアメリカ国民

アメリカというと世界の超大国で、国際的なイメージがありますが、そうは言っても多くの国民は、国際化???、という状況。西海岸や東海岸の国際色豊かなイメージって、実はアメリカの一部でしかありません。

分かりやすく言えば、日本でも地方にズーッと暮らしていれば国際化と言われても、???、という状態なのと一緒で、多くのアメリカ人も国際化と言われても・・・、というのが実態です。

この状態は、今も昔も程度の差こそあれ、それ程変わっていません。人によってはアメリカ人=田舎者、と表現される方もいますが、アメリカという国は田舎者が支えている国、とも言えます。

田舎者には国際連盟もTPPも関係ありません。

国際連盟に加盟して戦争に巻き込まれたらかなわないし、TPPに参加して国内産業が空洞化してもかなわない、通じるところは一緒ではないかと。

自国で何でもできるアメリカ

自由貿易云々と言いますが、実のところはアメリカはいざとなれば自国で自給自足できる国です。ここに全てのベースにあります。石油が自国で生産できるのが、何と言っても強い。昨今はシェール革命で、石油もサウジアラビア他から輸入する必要が無くなっています。その意味では、アメリカの孤立主義はシェール革命が後押ししている部分もあります。

アメリカのGDPの約7割が個人消費、と言うことからも実はアメリカ経済は自国内で回している比率が高い、ということが分かります。そんな訳で、別に自国の利益を犠牲にしてまでTPPに参加しなくても・・・、と考える人が増えるのは当たり前。特に利害関係があれば尚更。

日本ではTPPの交渉の際に農業団体の反対が大きく取り上げられましたが、アメリカでも製薬業界他大反対があっての交渉だった訳です。アメリカが実質的には言いだしっぺのTPPではありますが、アメリカ国内でも反対論があった上での船出だった訳です。

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アメリカのTPP離脱後、TPPはどうなるのか?

アメリカがTPPを離脱すると、TPP加盟最大の経済大国アメリカがいなくなるので、実質的には現在のTPPは崩壊することになります。

トランプ次期大統領はTPPではなく2国間交渉の貿易体制を目指す、とコメントしています。よってそのままであれば、TPPは崩壊です。

頭の体操ですが、アメリカが入らないのであればそれでよし、としてTPP加盟第2位の経済大国日本が主導して、”New TPP”的な枠組みを作り上げる、という方法は無くはありません。
もしそれをするのであれば、日本の外交力が試されることになりますし、アメリカがいらない、と言ったTPP、アメリカの横槍無しに日本が独自外交を行う絶好の機会だったりします。

アメリカ抜きのTPPを日本主導でリニューアルという展開、非常に面白いと思うのですが、日本の外交力にそこまで求めるのは無理があるかな・・・、うーむ。

16-11-24日本の国旗
アメリカのTPP離脱は日本が独自外交するチャンスの可能性も

まとめ

思いもよらぬトランプ大統領の誕生によって、今後アメリカの政治及び経済は大きな岐路に立たされる可能性があります。

とりあえず金融市場はトランプ相場のお祭り状態ですが、TPPに限って言えば風前の灯となっています。日本でも苦労してTPP条約交渉から国会の承認までした訳ですが、このままだと苦労は水の泡、となってしまいそうです。

けど国際連盟の歴史を紐解けば、アメリカってそーいう所あるよね・・・、とも言えます。

日本が独自の外交でNew TPP、というのは頭の体操として非常に面白いのですが、本当にトランプ氏は大統領就任初日にTPP脱退を表明してしまうのか?そしてTPPは歴史のあだ花となるのか?

TPP離脱表明が、アメリカがモンロー主義的な国内回帰路線の転換点となる可能性も否定できないため、TPP離脱表明だけでなくその後のアメリカがどんな方向に進んで行くのか。興味を持って見ていきたいと思います。

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