山岳小説の巨匠、新田次郎は時代小説も書いています。代表作は「武田信玄」ですが、管理人は読んだことがありません。そんな中、新田次郎が書いた「武田勝頼」をヒョンなことから入手しました。

 読んでみるとさすがに面白く、なおかつ思うところ多数。穴山信君悪者説に立つ武田家滅亡のストーリー展開ですが、優良なオーナー系企業の倒産劇にも通じる武田家の崩壊ストーリーとなっています。ビジネス書として読んでも非常に面白いです。歴好きなサラリーマンなら「武田勝頼」は面白いこと請け合いです。。

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久しぶりに行った古本屋で発見した武田勝頼

 管理人は昭和の面影の残る行きつけの古本屋が何軒があります。先日訪れたとある古本屋、この店はその昔「銀河英雄伝説」一式を約2,000円という破格の値段で売っていて即買いしたり、「戦争と平和」をこれまた一式で格安(値段忘れた)で売っていて即買いしたという、思い出深い店です。何せ社会人になって、「銀英伝」を高校以来振りに読破するとは夢にも思いませんでしたから、笑。「戦争と平和」はロシアの歴史を知るという意味では面白かったのですが、物語としてはどうも文学的素質に恵まれない管理人にはイマヒトツでした。

 そしてその店で「武田勝頼」のハードカバーの古本を発見。著者はあの山岳小説の巨匠・新田次郎。へー、新田次郎はこんな本まで書いていたのか、と思い、そして即購入を決意。新田次郎は山岳小説で有名ですが、歴史小説も書いています。有名なのは「武田信玄」、これは知ってました、読んでませんが。

 なぜか歴史上の滅びの瞬間に非常に興味を持つ管理人。日本では武田家の最後、北条家の最後そして海外ではローマ帝国やビサンツ帝国の最後、オスマントルコの最後まで、滅びの原因系の本を結構な数読んでます。山岳小説の新田次郎、そして滅びの武田勝頼とくれば、もう見送りの選択肢はありませんでした。お値段約1,000円なりー。だからココの古本屋巡りは辞められない。(実はもう一冊興味深い本がありましたが、3,000円もしたので今回はスルーしました)

穴山信君悪者説の「武田勝頼」

 ネタバレしない程度に「武田勝頼」の内容を書くとすれば、新田次郎の「武田勝頼」は穴山信君悪者説をベースに書かれています。

 穴山信君と言えば、武田家親族筆頭の重臣で武田家の駿河領の総責任者。しかし武田家の最後の時に、織田信長・徳川家康に寝返ったことで知られています。更に言えば、本能寺の変の後、徳川家康と行動をともにしていたところ、伊賀越えで別ルートを取った結果落ち武者狩りにあい死亡した、と言う事でも知られています。昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」では榎本孝明氏が演じていました。

 そしてその穴山信君が武田家滅亡の元凶、というのが新田次郎の「武田勝頼」のモチーフになっています。

面白い解釈だがホンマかいな?、の感もあり

 穴山信君悪者説、あまり知らなかったので、面白いなぁ、と思い読み進めましたが、ホンマカイナ?、という感もあります。まぁ、小説なので目くじら立てる必要はないですし、こーいう解釈もあるのか、と目から鱗でもありました。

 ただ本能寺の変の後、伊賀越えの途中で落ち武者狩りで穴山信君は命を落とす訳ですが、これは徳川家康の差し金、と言うのは妙に納得できます。何せその後、旧武田領を抑えたのは徳川家康なので。

 けどさすが新田次郎の著書です。面白くてアッと言う間に読破しました。やっぱり歴史小説大好きだわ、というのを再認識。

優良会社の若社長の苦悩の物語として読むと非常に面白い

 新田次郎の「武田勝頼」は、オーナー系優良会社を潰してしまった優秀な若社長の話として、ビジネス書っぽく読むと、非常に面白いです。

 武田信玄=名門だがこじんまりした会社を全国区の会社に大きくした先代社長、武田勝頼=関連会社の社長になるハズだったのに本命の後継者が途中でいなくなって本社の社長になった優秀な若社長、穴山信君=親族代表の筆頭役員、山形昌景・馬場信春=大番頭の2枚看板、真田昌幸=中途入社組みの出世頭、こんな感じで捉えて読むと、「武田勝頼」の新しい世界が開けます。

 武田勝頼は武田信玄の時代より武田家の版図を広げているので、有能な武将であったことは間違いありません。ただし、その有能な武将がなぜ武田家をなぜ滅ぼしてしまったのか?、というのは非常に面白いテーマとなります。

 そして上記構図で勝頼時代の武田家=武田コーポレーションを見ると、若社長が中途入社組の出世頭の提案が一番いいと分かっていても、その案は採用できないよね・・・、と親族系役員の意見を採用すること場面がこれでもか、という程でてきます。長篠の合戦以降、武田家の滅亡に至るまで、そんな場面が多々あります。

 穴山信君を筆頭とする親族系役員は、中途組=真田昌幸から見れば、使えねー、という役員ばかり。物事を分かっている人=真田昌幸、分かってない人=穴山信君他、分かっていてもしがらみタップリで実行できない人=武田勝頼、という構図で見ると、歴史のあるオーナー系企業の姿にソックリ?

 優秀で物事が分かっていても、しがらみ等々でそれが実行できない武田勝頼の悲しさはもう涙モノです。新田次郎の著書にビジネスっぽい内容を発見するとは、思いもよりませんでした。その意味では、シガラミ関係なく何でもアリの織田信長に武田勝頼が敗れたのは、歴史の必然と言えなくもありませんが

 けどまぁ、分かっちゃいてもやめられない、というのが日本の企業ではよくあるケース。優秀な社員が沢山いても、ダメな会社になっていくケースって殆どこのパターンではないかと。上場企業なり未上場でも大企業になれば、役員はやはり優秀でないとなれない訳で、そんな優秀な人たちが集まっても、東芝や旧UFJ銀行みたいになってしまいます。

 その日本企業がダメになっていく典型的な姿を「武田勝頼」に見たような気がします。

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歴史のif、武田勝頼が上野に逃げていたら?

 歴史のifとして以前から思っているのが、武田勝頼が上野に逃げて、岩櫃城で真田昌幸とともに篭城していたらどうなっていたのか?武田勝頼が天目山の戦いで死亡したのが天正10年(1582年)4月3日、本能寺の変が天正10年(1582年)6月2日。2ヶ月チョット籠城を頑張れば、実は織田信長が先に死んでいます。

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 織田信長亡き後の旧武田領の混乱は、「真田丸」でも描かれましたが、大混乱。しかし武田勝頼が生き残っていたら・・・、と思うとまた全然違う歴史が生まれていそうな気がします。

 このあたりの歴史のif、もし本能寺の変があと1年遅いと実は上杉景勝も武田勝頼と同様滅亡している可能性が高かったりするので、本能寺の変の寸前は武田家も上杉家もギリギリの状況にあったのは間違いありません。

 北条家は対武田家対策でサッサと織田家に同盟という名の臣従をしており(自力で武田家より奪った、駿河及び上野領を没収されてます)、確かに本能寺の変前後での生き残りに成功したものの、次の豊臣秀吉対応に失敗し滅亡の憂き目を見ています。

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 武田・上杉・北条の三家で最終的に生き残ったのは上杉家だけですが(ただし北条家は狭山藩1万石の大名として明治時代まで存続)、上杉家が生き残ったのはタマタマとか上杉景勝は持っている男だったとか、そんなレベルだったような気がします。生き残るか滅亡するか、皆紙一重の差だったのではないかと。

まとめ

 戦国時代系の話は話始めると止まらなくなります、戦国モノの小説、ホント読んでいて飽きません。まさか新田次郎の「武田勝頼」をビジネス書感覚でよむことになるとは思いませんでしたが、歴史小説としても非常に面白いです。

 武田勝頼って武田家を潰したボンクラでしょ?という方から、優秀な武将だよね、という知識はお持ちの方まで、歴史小説、そしてビジネス書的要素もある新田次郎の「武田勝頼」オススメです。ご興味あれば、是非ご一読ください。

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