6月の民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行を前に、京都市で民泊条例が成立。その内容は、住宅地での営業制限や責任者の10分以内の駆けつけ義務を盛り込み、民泊事業者には非常に厳しい内容となっています。

京都市が民泊に対し厳しい規制を課したその背景を解説するとともに、世界の観光都市の民泊に対する厳しい規制の例も紹介。実は京都の規制、世界的に見れば例外ではありません。

ただし大阪のように民泊に対し、開放的なスタンスの自治体もあり、自治体によって民泊に対するスタンスは様々と言うことができます。

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京都市議会で民拍条例が2月23日可決成立

世界屈指の観光地・京都市で民拍条例が成立。6月に民泊新法(住宅宿泊事業)の施行を控え、各自治体での条例制定の動きが注目されていますが、対民泊の先進地域と言える京都市は他自治体に先駆けて条例を制定しました。

民泊新法はその運用について自治体に対し非常に広い裁量権を認めており、各自治体は条例を制定することで、民泊について独自の規制を課すことができます。よって民泊新法の施行が6月に迫っていますが、その規制については自治体によりけり、と言う状態になることが予想されています。

そんな中で京都市は当初の予想通り、民泊事業者に対し非常に厳しい条例を制定しました。

京都市の民泊条例の特徴

それでは京都市が制定した民泊条例はどのような内容なのでしょうか。その内容について大きな特徴を2点解説します。

①住宅専用地域は例外を除き冬の60日間のみ営業が限定

京都市は観光すると分かりますが、観光地と住宅地が非常に近接しています。バスから歩いて徒歩5~10分の住宅街抜けた先に名所のお寺が存在、って結構普通にあります。

そんな背景もあり、民泊は住居専用地域では例外を除き営業できるのは冬の60日間のみ。例外としては家主が物件内に住んでいる場合及び、文化的価値がある京町屋物件で営業する場合を想定。

いわゆるアパートやマンションの1室を民泊に貸し出すことは、冬の60日間を除くと不可能となります。

これまで賃貸アパートやマンションを借りて、民泊に貸し出していた、と言うようなことは住宅地域では2018年6月の民泊新法の施行以降は法律違反となり、出来なくなります。

京都市は観光地と住宅地域が近接していると先ほど述べましたが、京都市の周辺部の観光地である金閣寺、下賀茂神社、清水寺付近はいずれも住宅地域となるため、それら地域での民泊の6月以降の営業は、非常に厳しい条件が課せられることになります。


清水寺の付近も住宅地域

②管理者に10分以内の駆けつけ義務

京都市の民泊条例の2つ目の特徴は、物件の管理者に10分以内の駆けつけ義務を課している点。

何かあったらスグに責任者は駆けつけなさい、と言う事。

ホテルや旅館だと係りの人がどんな小さなホテルでも常駐していて、深夜でも何かあれば部屋等に駆けつける訳ですが、同等の管理を民泊にも求めています。家主が家にいて部屋を民泊に貸し出すようなら、同じ住居に住んでいて何かあれば扉を開ければすぐ対応できます。ただし簡単に言って資産運用目的で、アパート・マンションをまた貸し的に民泊を行っていると、完全にアウトになります。とは言え民泊専門の管理会社と契約すれば、本規制はクリアできるような感もありますが、恐らくそこまでして民泊を運営しようとすると利益面で厳しくなる、もしくはチャント対応しようとする方なら正規の手続きを取ると考えられます。

何かと問題になっている、別の場所にオーナーがいて賃貸の部屋をまた貸しして民泊を行っている物件については、駆けつけ義務で殆どが違法状態となります。

なぜ京都市は民泊に対し厳しい規制を課すのか?

京都市の民泊条例は、民泊事業者に対し非常に厳しい内容の条例となっています。6月に民泊新法の施行で、日本でも法的に正式に認められる民泊ですが、京都市は厳しい条例の制定で、民泊市場の成長の芽を潰してしまうのか?

実は京都市は観光客数の増加で、市民インフラが悲鳴を上げている現実があります。京都市を観光するとすぐ分かりますが、いつもバスが満員。昔から京都のバスは込んでいましたが、ここ2~3年のバスの込み方は尋常ではありません。

で観光地の殆どがバスでの移動が必要となる京都。さらに観光地と住宅地が近接してもいます。となると必然的に貴重な市民の足であるバスが利用できない事態となります。管理人も昨年京都観光しましたが、バスが満員で途中のバス停をいくつもスルーして驚きました、ホント。

元から混雑している道路も、更に混雑。そして民泊が増えた結果、地域住民とのゴミ出しトラブルや騒音トラブルも急増し、京都市民の間では、観光客増加による悪影響は勘弁して欲しい、というのが本音です。

京都市は更なる観光客の増加を目指している訳ですが、その前にもう勘弁してくれ、と思っている京都市民が存在している訳で、民泊解禁で更に市民の不満を膨れさす訳にはいかない、という事情があります。


違法民泊に対し厳しいスタンスで知られる京都市ですが、それでもその対応には苦慮しています

民泊対応先進自治体の京都市

世界屈指の観光都市で、早くから民泊の利用が広まった京都市は、国内屈指の民泊対応自治体と言うべき存在です。

民泊事業者の間では、京都市の対策の厳しさは有名であり、現在では京都市で違法民泊の運営はリスクが高くなっています。しかしながらそれでも民泊の普及の進展に京都市の対応はリソースが限られていることもあり、イタチゴッコの状態です。

そんな京都市だからこそ、これまでの民泊対応の知見を生かして日本の自治体でトップを切る形で民泊条例を制定することができています。

京都市の条例が他の自治体でも民泊条例の厳しい側のモデルとなるのではないかと。札幌、福岡と違法民泊物件への大量に苦慮している自治体は他にも存在しており、京都市の条例はモデルケースになると考えられます。

海外がオーナーの場合の対応に注目

恐らく今後問題となるのは、外国人が違法民泊物件のオーナーの時の対応。現状ではお手上げ状態となっています。外国人観光客向けの白タクに対し、規制当局が何ら手を下せないのと似ているのですが、現状では外国人が民泊のオーナーだと実質的に何も手が出せない状態です。(何せオーナーが国内にいないのですから)

民泊新法の施行がなされ、京都市では民泊条例の下での民泊施設の運営が義務付けられ、法律的な枠組みが完成しますが、特に外国人がオーナーの違法民泊物件に対し、京都市は手間はかかっても強い対応をとることができるのか、注目に値します。

結局、対外国人のアンダーグラウンドな民泊施設が存在し続ければ、民泊条例の制定も何ら意味がありません。法的な枠組みが出来上がった後は、京都市の条例の運用力が試されることになります。

民泊施設サイト最大手Airbnbは違法民泊物件は排除方針

京都市も外国人がオーナーの違法民泊物件への対応、出来る範囲で進めています。民泊サイト世界最大手のAirbnbに対し働きかけの結果、Airbnbは違法物件の掲載は行わない方向に。

Airbnbは世界のナンバーワン民泊サイトで、当初は進出した世界各地の都市で、規制当局とのバトルをしていた時期もありましたが、ここ最近は少なくとも規制当局とは協調する姿勢を取るケースが多くなっています。京都市に対してはAirbnbは宿泊税の徴収も行う方向であり、協力姿勢を見せています。

ただし問題はAirbnb以外のサイト。Airbnbに並ぶHotels.comも親会社が上場会社でもあり(ネット旅行代理店世界最大手のプライスライン)最終的には折り合いがつくのではないかと。

問題はアジアの民泊サイト。アジアからの観光客が民泊を利用する比率は欧米より多いと言われており、現地資本の民泊サイトも存在しており、それらのサイトの強力を京都市は得られることができるのかが今後のポイント。

特に中国は世界最大手のAirbnbも現地資本の壁を崩せていないため、いくらAirbnbが協力姿勢でも、中国からの訪日客が急増している中では、中国の民泊サイト経由の宿泊客が違法民泊ばかり泊まっている・・・、となっては規制の意味がありません。

京都市の民泊条例の制定は、運用面で京都市の本気度が問われると言えます。

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世界的に見れば京都の例は特殊ではない

世界では民泊が盛ん、とよくニュースで耳にします。確かに世界最大手の民泊サイトAirbnbは急成長していますし、海外のネット旅行店大手のエクスペリアの民泊部門のHotels.comも業績が急拡大しています。

アジア地域中心に開発途上国の経済発展により、世界的な旅行需要が拡大している中で、民泊のニーズが拡大しているのは間違いありません。

しかしながら民泊市場の拡大により、特に観光地で軋轢が続出している現実も存在しています。米国はもとよりAirbnbは進出した各国において、観光地を抱える都市との摩擦が絶えません。また既存宿泊業界との軋轢は言うまでもありません。

その結果、パリやサンフランシスコ、シンガポールを始めとする多くの都市では民泊物件は当局への登録制となっています。また当然営業日数が制限される都市も多くなっており、実は世界的な観光地との観点では京都の規制は、特別厳しいと言う訳ではありません。

各都市ともに居住者がいての民泊については寛容なスタンスであり、ホストとゲストが拘留するような民泊についてはウェルカムの姿勢ですが、空き部屋を貸すイメージとなる民泊は観光地を抱える多くの都市で規制がなされています。

ただしそれでもシンガポールのように、殆ど違法物件にも関わらず民泊が堂々となされている都市もあり、観光地を抱える都市にとって民泊への対応は非常に頭の痛い問題となっています。

また民泊はホテル業界から見れば、これまでの業界秩序を乱す敵であり、多くの都市でAirbnbと宿泊業界団体はバトルを繰り返しています。日本も民泊新法を施行を前に、宿泊団体が各自治体に民泊条例を厳しくするようにとの運動を行っています。

民泊は観光都市でホテルの代わりに利用されるだけではなく、地方で地元の方とふれあえるいわゆる体験型民泊も存在しています。体験型民泊はいずれも地域も基本的にウェルカムなスタンスですが、単に部屋を貸します的な民泊は、特に観光地を抱える都市にとっては世界的に見て歓迎されざる存在であり、京都の民泊条例は、その例は日本でも例外ではなかった、と言うことが見て取れます。

各地域により民泊のスタンスが異なる

外国人観光客の増加により市民生活のインフラが悲鳴を上げ、市民に静かな不満が蓄積されつつある京都に対し、大阪は基本的に外人さんいらっしゃい状態で、民泊についても過度な規制を行わない方針。

さすが商売の街・大阪、と思わないでもありませんが、大阪は都市部と居住地域が離れているケースが多く、また難波を中心とするエリアに民泊が存在しています。このエリア、都市部と言うこともありファミリー層はあまり住んでいない地域と言うことと、経済面のメリットもあり、大阪では民泊の問題がそれほど大きくなっていません。当然、違法民泊については京都市に次ぐ厳しい姿勢を大阪市・大阪府は取っていますが、今のところは商売=来日客の増加優先スタンスです。

東京はまだ民泊に対するスタンスが定まっていませんが、都市部と住宅地域そんなに重なっていないので、京都のような問題は起きない可能性が高いです。

京都と同様の問題が生じているのは。札幌と福岡。この両都市は民泊対応に頭を悩ましており、京都市の条例を見習う可能性が高くなりそうです。

民泊新法は自治体の条例に運用を任されている部分が大きいので、各地域により民泊のスタンスが大きく異なる状況が到来しそうですね。


大阪は民泊に対すし寛容なスタンス

まとめ

6月に施行が予定されている民泊新法への対応は、各自治体によって大きく差がつくことになりそうです。

世界屈指の観光都市で、訪日外国人観光客の増加の影響を一番最初に受けた京都市は、も元々観光客が多かったことと観光地と居住地域が近接していたこともあり、市民インフラに大きな影響が出て、市民の不満が溜まっています。そんな中での民泊解禁であり、規制色が強い内容となるのは当然の結果とも言えます。

各都市で対応が分かれることになりそうな6月の民泊解禁。それぞれの都市がどのような対応を取るのか、非常に興味深いですね。

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